森井教授のインターネット講座 最新版(2003年1月13日掲載記事)



第227回 今年のインターネットは?


解説イメージ

2003年のインターネットでは、間違いなく「IP電話」の普及 が話題の一つになるでしょう。現在の電話は、その誕生以来約130年、 原理的にはほとんど変わることが有りませんでした。携帯電話でさ え、有線ではなく、無線を使うだけであり、原理的には同じものだ ったのです。

糸電話を想像して下さい。2人一組が通話をするためには、2人を結 ぶ1本の糸が必要です。二組ならば2本、三組ならば3本必要です。 今までの電話は、通話に必要な数だけ糸に対応する「回線」と呼ば れる通信路を確保しなければなりませんでした。通信路はマイクロ 波と呼ばれる無線であったり、銅線であったり、光ファイバー等で す。その回線を、通話者の電話番号によって、ひとつひとつ、つな いでいく技術が「交換」と呼ばれる技術だったのです。一組の通話 者同士が、交換技術によって、継ぎ替えをしながら一本の回線を結 ぶことで通話が可能になるのです。これを回線交換と言います。IP 電話はこの回線をつなぐことを行いません。正確に言うと、一本の 回線を二組以上の複数の通話者で共有するのです。回線が道路、車 が声のデータだとすると、回線交換は、電話をかけようとするとき、 まず一台の車が通れる道路確保してから、その車だけ通れるように した方式です。IP電話では、最初から車線の多い高速道路を作って、 多くの車が同時に通れるようにした方式なのです。IP電話のような 方式にすることで、道路(回線)を効率よく使うことができるよう になり、結果として例えば、全国一律3分10円のような安価、あ るいは全国どこへかけようが、月額固定の料金が可能になったので す。

もう一つは「屋外無線LAN」、すなわち「無線インターネット」です。 ホットスポットと呼ばれる無線による電波を受けて、インターネッ トに接続できる地域が増加してきました。しかし、昨年の後半にな って、無線ゆえの誰でもが電波を受信できることから、盗聴や不正 アクセスの問題が大きく取り上げられました。この盗聴等を防ぐ有 効な技術が「暗号」です。IP電話でも、従来の電話以上に盗聴の問 題が指摘されています。無線インターネットと同様、暗号がセキュ リティの要となるのです。


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