先日、マイクロソフトの家庭用ゲーム機「Xbox」を使ってイン ターネットを利用したオンラインサービスが始まりました。家庭用 ゲーム機は、ソニーの「プレイステーション2」、任天堂の「ゲー ムキューブ」を合わせた3機種が、現在の主流ですが、そのいずれの 機種でも、オンラインサービス、特にオンラインによるゲームを楽 しめるようになりました。
家庭用ゲーム機をインターネット等の通信ネットワークに接続して、 オンライン、つまりリアルタイム(実時間)で相互にデータをやり 取りするサービスは以前から考えられており、実際にサービスもさ れていました。家庭用ゲーム機の代名詞でもあった任天堂のファミ リーコンピューター、略してファミコンが発売されたのが、1983年 です。その5年後の1988年にはファミコンを、電話回線に接続して、 オンラインサービスを行うことがはじめられました。ホームバンキ ング、ネットトレード、それにイーラーニング(ネットワークを 利用した通信教育)等、現在のインターネットを利用して行われて いるサービスと同じ考えのサービスが行われたのです。特に、「フ ァミコントレード」という言葉ができたほど、株取引は話題になり、 また最近までファミコンでの競馬の馬券購入システムが動いていま したが、広く活用されるまでには至りませんでした。その最大の理 由は電話回線による接続です。まず、当時は現在でも利用されている 電話回線での接続と比較して、速度が1/50程度であったこと、 さらに都市部でも3分10円、地方では数十秒で10円という高い通信料 金であるという理由です。さらにもうひとつの理由はファミコンが 「おもちゃ」であるということです。現在ほど家庭用ゲーム機が認知 されておらず、まだまだ子供のおもちゃという認識ゆえ、お金のや り取りが関係するようなサービスに使う気になれないという心理が はたらいたのでしょう。ファミコンは国内だけで約1,900万台以上、 流通しましたが、その中でオンラインサービスを受けたのは、13万 台に過ぎませんでした。
1990年代の後半、インターネットの出現とともにその後も、ファミ コンに続く「次世代家庭用ゲーム機」という総称で、オンラインサ ービスの端末としても、テレビとともに、パソコンに代わる本命と してとらえられてきました。ゲームの複雑な操作も簡単にできると いう操作性、そして「おもちゃ」としての馴染み深さがその理由で す。次世代家庭用ゲーム機が、単なる家庭用ゲーム機として広く普 及した現在、それが通信ネットワークにつながれているでしょうか。 残念ながら、以前に期待されたほどはつながっていません。その理 由はやはり通信回線の接続料金の高さです。しかし、この1,2年で 大きく状況が変わってきました。常時接続で、かつ安価なブロード バンドインターネット、つまりADSLやCATVの普及です。