2年以上前の第159回の連載で「HD(ハードディスク)ビデオ」を 紹介しました。当時はまだまだ高価でしたが、最近ではテープ式 のビデオが駆逐される勢いで、HDを利用したビデオが売れている そうです。HDもますます高容量となり、300GB(ギガバイト)とい う、大きな図書館にある書籍全部の内容を保存しても余りある記 憶容量が手軽に扱えるようになりました。録画時間に直せば、 200時間以上録画できることになり、ひとつのチャンネルならば、 1週間以上連続で録画し続けることができるようになったのです。1本 のテープでは、せいぜい10数時間ですから20倍以上の時間、連続 録画ができることになります。しかし、テープにあって、HDにない 利点は、持ち運びができるということです。一般にHDは取り外しが できませんから、録画再生はできても、そのHDビデオ自体を持ち運 ばなければなりません。これを補う機能がDVDへの録画再生機能です。 録画可能なDVDも低価格になり、HDビデオにはDVDへの録画再生機能 が付属することが一般的になりました
では、HDではなく、DVDに直接、録画する方式と比べて、何が利点 なのでしょうか。最近では、長時間録画可能なDVDの方式も開発され、 テープ方式並みに長時間録画できるようになりました。しかし、 1枚のDVDで高々10時間程度であり、HDの200時間には及びません。 録画時間が長いと、自分が興味を持ちそうな番組をいったんすべて 録画しておき、後日に本当に見たかったものだけをゆっくりと選択 して鑑賞することができるようになります。極端には、CS放送の映 画専門チャンネルを番組表を確認しないで、24時間毎日録画し続け、 後日に自分が楽しめそうな映画だけゆっくり鑑賞することができる わけです。そして何度も見たいような映像だけDVDに録画して、保存 しておけば良いのです。この番組表を確認して、録画予約を行うと いう作業は少なからず面倒なものです。Gコードといって、数桁の数字 を入力して予約を行う方法も一般的になりましたが、番組表を見て 望みの番組を探さなければなりません。見落としがあったり、番組 のタイトルだけでは興味がわかなくとも、後で話題になり、見たく なった番組というのも少なくないでしょう。最近のHDビデオは、イ ンターネットと結びついて、インターネット上のEPGといわれる電子 番組表を検索して、望みの番組を探し出してくれる機能がついてい ます。たとえば、「サッカー」というキーワードを入力すれば、EPG を自動的に検索して、サッカーに関係する番組をすべて録画してく れるのです。EPGには、番組のタイトルだけでなく、出演者や番組内 容まで記録されており、サッカーの中継だけでなく、サッカーに関 する番組すべてを探し出してくれます。さらにキーワードを入れる ことなく、HDビデオが今までに録画した番組を覚えていて、そこか ら類推して、興味を持ちそうな番組を自動的に録画する機能ももっ ています。かならず興味を持つ番組だけを録画するわけではないの で、興味を持ちそうな番組をすべて録画するということになり、数 百時間という連続録画が可能になってはじめて実現する機能なので す。