森井教授のインターネット講座 最新版(2003年5月12日掲載記事)



第233回 トロンとリナックス


解説イメージ

「ウィンドウズ」という言葉を聞いたことがあるでしょう。ほとん ど人が使用しているパソコンではウィンドウズというOS(オペレー ティングシステム)が動いているのです。OSのことを基本ソフトウ ェアと呼ぶことがあります。つまり、OSとはすべてのソフトウェア が動くための土台となるソフトウエアなのです。OSにはいろいろな 命令とその利用するにあたっての規則が定められています。OSが異 なるということは、この命令の表し方や規則が異なるのです。言わ ば、英語と日本語のようなものです。表現の方法は異なるわけです が、どちらも同じ内容を伝えることができます。異なるOSであって も、それぞれの上でソフトウェアを作り、動かすことによって同じ ことが出来るのです。

最近、「リナックス」という言葉が聞かれるようになりました。「 リナックス」もパソコンのOSの一つです。まだまだパソコンでは「 ウィンドウズ」が主流ですが、データファイルを管轄したり、ホー ムページを運用したり、ネットワークを管理するという特定の仕事 を専門に行うサーバと呼ばれるパソコンでは「リナックス」が使わ れようとしています。その理由は「ウィンドウズ」が一つの営利企 業が独占的に発売しているOSであることに対して、「リナックス」 は、多くの技術者が関わって作った公開のOSであるという点です。 「ウィンドウズ」では基本的にOSを改良したりすることはできませ んし、OS自体の仕組みが完全に公開されているわけではありません。 「リナックス」はソースコードと呼ばれるOSの仕組みを記述した プログラムが完全に公開されており、それを改良することも自由な のです。また電子政府という言葉に代表されるように、パソコンを 含むコンピューターが国家の社会システムに深く関係しています。 そのソフトウェアの土台となるOSが一企業の占有物では支障がある という考えもあり、「リナックス」が支持されているのです。OSが 公開されているということは、多くの技術者が改良できることにつ ながり、そのOSをさらに優れたものにできるのです。この公開され たOSの代表が「リナックス」なのです。 さらにもう一つの公開のOSとして「トロン」があります。「トロン」 は1980年代中頃に提唱された日本独自のOSです。この「トロン」を 利用したパソコンは広まりませんでしたが、1990年代中頃以降にな ってパソコン以外の、マイコンと呼ばれる制御用のコンピューター のOSとして利用されるようになりました。特に日本製の自動車や携 帯電話の制御用コンピューターには、この「トロン」が用いられて います。今後、日本が得意とする分野である、家電製品、とくにコ ンピュータとネットワークを利用した情報家電には「トロン」を用 いようとする動きがあります。日本製のOSが世界を席巻する日が来 るかもしれません。


前回掲載記事はこちら
次回掲載記事はこちら

森井教授のインターネット講座ホームページ