森井教授のインターネット講座 最新版(2003年6月30日掲載記事)



第237回 ネットで投票!?


解説イメージ

前回のインターネット講座では、「ネットでアンケート!?」とい う題で、ダイレクトメールやハガキ、それに直接訪問することに代 わって、インターネットでアンケートや懸賞の申し込み、さらにビ ジネスアイデアまで募集するようになったと書きました。同じよう にテレビやラジオでの、番組や音楽のリクエストもハガキや電話、 それにファクシミリに加えてメールやウェッブ(WEB)を使って、行 われることが普通になりました。

「いつでも、どこでも、誰とでも」コミュニケーションが取れる、 つまり簡単に言うと連絡が取れる、意思疎通が出来るということが、 ユビキタス社会であり、ITと呼ばれる情報技術は、それをめざして いるのです。しかし音楽等のリクエストといった人気投票では、ユ ビキタス社会の大きな特徴である「容易」に連絡が取れるという側 面は必ずしも良い効果を与えません。なぜならば、人気投票のよう な行為は、手間を惜しんででも、その人や楽曲に賛意を示す行動な のです。その手間が大きいほど賛意が大きいという見方もできるの です。しかし、容易に賛意を示すことができるのであれば、その方 法でもってして、その人気の大きさを測ることは難しいでしょう。 特に人気の大きさを問題にするのであれば、ハガキを5通書く人の 賛意と、メールを5通出す人の賛意を同じように扱うことには問題が あります。ハガキを5通出すには、250円という代金が必要な上、5通 に対して、自筆もしくは印刷することによって内容を書かなければ なりません。メールは、無料ではありませんが、ほとんど無料に近 い費用で出せますし、内容をコピーして送ることも容易です。

この問題がプロ野球のオールスターゲームのファン投票で顕著にな りました。インターネットから大量の得票を得て、今までほとんど 試合に出ていない選手が、中間発表段階であるものの、投手部門で 1位になったのです。極端に言うと、インターネットでの1回のクリ ックが、一通話の電話、一葉のハガキと同等に扱われた上、1台の パソコンから短時間に大量に投票できることが、この問題を生み出 したのです。インターネットは単なる通信手段ではなく、「新しい 文化」だと言われています。その影響力や様々な効果、そして逆に 予想し得ない不正な行為もあり得るのです。まだまだインターネッ トは未知な領域を残しています。


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