森井教授のインターネット講座 最新版(2003年7月7日掲載記事)



第238回 GPS


解説イメージ

以前、盗難にあったカバンに警備会社がサービスしている携帯型の 位置情報システムを付けていたおかげで、犯人が逮捕されたという 新聞記事がありました。手のひらに載る小さな機械が時々刻々、そ のカバンの位置を警備会社に報告していたのです。このシステムで 位置を割り出すための中心的な仕組みがGPS(Global Positioning System)と呼ばれ、日本語で「全地球測位システム」と言われるもの です。警備会社に報告するには、携帯電話やPHSと言った無線通信 を用います。携帯電話に、このGPSが搭載された機種が発売されて 久しいですが、さらに小型、軽量化、それに電池の寿命を伸ばし、 位置情報を報告する機能に特化した製品が出されました。この更な る小型化によって、ペット向けのサービスが始めてられています。 テレビでよく見る小型犬を中心としてペットブームが続いており、 そのペットが逃げ出したりして、行方不明になる事件が多くなって います。この迷い犬の対策にサービスされているのです。このGPSは ほとんどすべてのカーナビに利用されており、身近な存在になりま した。しかし、元々はアメリカが軍事利用を目的としたシステムで あり、現在でも、そのシステムの一部を開放してもらうことによっ て利用しているのです。

GPSはアメリカ国防総省が開発運用をしているシステムであり、1978 年から始められました。民間が利用しだしたのは1980年からです。 地上約2万km上に24機の人工衛星が展開しており、常に移動し てますが、地球上の、どの位置から、いつでも4機以上の衛星が頭 上にあるように移動しています。この衛星がそれぞれ固有の電波を 出していて、それを受信することによって現在位置を計算している のです。つまり、衛星からの電波を受信することによって、その衛 星からどれだけ離れているかを計算することができ、4つ以上の衛 星からの電波によって、ほぼ正確に経度緯度それに高度を知ること ができるのです。そのGPSの泣き所は衛星からの微弱電波を利用して いることから、ビルの谷間や屋内では利用することが難しいという ことです。新しい製品では、ごく弱い電波でも受信でき、位置を測 定できるようになりましたが、それでもほとんど電波の届かない地 下街や床面積の大きなビル内では利用できません。ペットが地下街 に隠れてしまえば探せ出せないのです。


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