平成15年度情報通信白書が出されました。情報通信白書とは政府が 情報通信に関して日本の現状をまとめ、今後の指針や政策を与える ものです。その中で、昨年末のインターネット利用人口が6,900万人 を超え、全人口に対する普及率が54%を超えていると発表されていま す。この数字は利用者数ではアメリカについで世界第二位です。し かし普及率が54%であるということは、生まれたばかりの赤ん坊から 高齢者を含めて2人に一人がインターネットを利用していると言うこ とになり、驚く数字です。恐らく毎日利用している、さらに携帯電 話のメール以外で利用している人となると、その半数以下になるか も知れません。
インターネットだけでなく、携帯電話やパソコン、PDA、さらにDVD レコーダーやデジタルカメラといった比較的新しい情報機器が誰で も受け入れられるわけではない、一つの理由は難しい「言葉」でし ょう。しかも日本語ではなく、英語の専門用語をそのまま用いてい ることが原因であると考えられます。確かに、その機器を専門に扱 う技術者にとって、世界共通語である英語での専門用語を理解する ことは重要です。しかし消費者にとって「呪文」のごとき専門用語 は頭を混乱させるだけでなく、「難しくて近寄りがたいもの」とし てのイメージを与えかねません。
先日、AMDというマイクロプロセッサやメモリを作る世界的な大手半 導体メーカが、このような専門用語がどれだけ消費者に受け入れら れているか、さらにその難しい専門用語の影響について調査をし、 その結果を発表しました。MP3とかDVD、あるいはウェッブブラウザ ーと言った、11の語句の意味を三択問題として答えるものです。 日本、中国、英国、アメリカの四ヶ国で、一般的な消費者として 1500人以上を対象に調査をしたそうですが、全問正解はたった3% だったそうです。特に不正解率が高い人ほど、新しい情報機器、例 えばデジタルカメラやDVDレコーダーの所有率や興味を示す率が低い という結果が出ています。テレビや新聞雑誌の広告でも、難しい専 門用語を連呼している場合が多いようですが、逆に難しいと言うイ メージを与えているかの知れません。専門用語を使うことなく、よ り身近な便利な製品として強調することが必要です。デジタルカメ ラやカメラ付携帯電話において、「メガピクセル」という言葉も使 われるようです。しかし「高精細画像」や「超高精細撮影」という 言葉のほうが受け入れられる場合も多いでしょう。ところで、その 半導体メーカのAMDという名前ですが、Advanced Micro Devices(ア ドバンスト マイクロ デバイス)の略です。略称も専門用語に輪 をかけて難解な言葉です。