森井教授のインターネット講座 最新版(2003年8月18日掲載記事)



第240回 バリアフリーインターネット


解説イメージ

最近、40歳代の人には懐かしい「インベーダーゲーム」がテレビ のCM等でよく見かけます。70年代末に世界的ブームとなり、日本で は特に、100円玉を握り締めて、喫茶店に閉じこもった人も少なくは ありません。当時のテレビゲームとは、家庭内のテレビで楽しむも のではなく、小さめのテーブルの表面にテレビ画面が埋め込まれた 形で、喫茶店等に備え付けられていました。通常、100円で一回の ゲームが楽しめたのです。そのインベーダゲームにおいて、最近、 視覚障害者向けのインベーダーゲームが開発され、話題になってい ます。インベーダーゲームとは画面上のインベーダー(UFO)を、自 分が操作する移動式の砲台で打ち落とすゲームなのですが、常に移 動するインベーダーや砲台の位置、移動する速さ等を音で表現して います。音の高低や大きさ、音質、さらにステレオ効果を利用して いるのです。テレビゲームの世界に置いても、健常者と障害者の垣 根を外そうとする動きが起こっていることで画期的なニュースでし た。 インターネットが社会的なインフラと位置付けられるにつれて、高 齢者や障害者への対策が求められるようになって来ました。しかし、 現実にはその急速な技術革新もあって、十分な対応、対策が取られ ていないのが実情です。電子政府、さらに電子自治体の整備が進め られている中、国民、市民がその恩恵を被るためにはインターネット を利用できることが前提と言っても良いでしょう。従来からもデジ タルデバイドと言って、主にパソコンの有無や地域によるADSL等の高 速インターネット利用の可否が問題とされてきました。このデジタル デバイドの解消を目指して様々な対策が練られてきたのです。学校へ のパソコンやインターネットの整備、さらに市町村自治体でのIT講 習会の開催等があげられます。今後は高齢者や障害者が容易に利用 できるインターネットの開発やその普及が望まれます。インターネ ットの「顔が見えない」という特徴は悪い印象ばかりを強調している ようですが、逆に偏見を取り除く効果もあることから、特に障害者の 社会参加を促してきました。しかし一般的には、その利用へのハー ドルは健常者に比べて低いとは言えないでしょう。画像や音声を多 用するブロードバンドと呼ばれるインターネットでは、視覚障害者 や聴覚障害者にとって使いやすい形には進歩していないのです。情 報の授受の中心である、ウェブ(ホームページ)でさえ、必ずしも、 障害者にとって幾分でも配慮しているページは少ないようです。先 日、富士通は、ホームページがどの程度、高齢者や障害者にとって 使いやすいかを診断するウェブアクセシビリティ診断ツールを誰で も使えるフリーウェアとして公開しました。公共性の高い団体、機 関のホームページの構築は、このアクセシビリティを一つの指針に 加えなければならないでしょう。

富士通ウェブアクセシビリティ診断ツール


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